「ヴェノナ暗号解読文書」洗脳の恐ろしさ

「ヴェノナ暗号解読文書」洗脳の恐ろしさ

 

アメリカの共産党はいったい何故に、これほどまでにソ連の諜報活動に協力したのであろうか。

その答えの一つはアメリカの持つ共産主義運動のもった本質に起因していた。

すでに本書の中で明らかにされているように、セオドア・ホールやギレゴリー・シルバーマスター、デビットグリ-ングラスやハリー・ゴールドたちはソ連の共産主義体制を熱狂的に支持し、ソ連のためのスパイ活動によってソ連という国家を強化し、その国益に奉仕できる機会が与えられたことを心底喜んだのであった。

 実際、アメリカ共産党は、党員達にこうした態度の正当性を強く訴えていた。

1935年、党の宣伝文書は次のように訴えていた。

 

「(スターリンは)経済発展の段階や言語、歴史、習慣、伝統においてそれぞれ異なっている世界の100以上もの諸民族の間に、豊かで色とりどりの、多面的な文化生活を作り出しながら、究極のすばらしい未来を作り出すという人類共通の任務のために、団結した社会主義世界の建設の先頭に立っているのだ。

(中略)彼が世界指導者としてあらゆる問題に関し、コミンテルンに属するすべての国の共産党に対して発する助言は常に正しく、極めて明晰かつバランスのとれたものであり、それらはいずれも、より新しい、より決定的な階級闘争への道を指し示している」

 

 さらに「アメリカ共産主義青年同盟」の機関誌「明晰」は、1940年に次のように大々的に宣伝していた。

「同志、スターリンの言葉はどの一つをとっても全て、革命的青年運動の進路を照らす偉大なサーチライトである。

資本主義のくびきの下で苦しんでいる資本主義国の若い労働者は皆、大いなる愛と希望をもって同志スターリンを仰ぎ見ている。・・・

 

彼らはソビエト連邦の人民が享受している幸福な暮らしは自分達にとって未来への光であり、そしてソ連の青年の豊かで幸せな暮らしは、ポリシエヴィキ党とその偉大な指導者、同志スターリンのおかげであることを知っている。

スターリンは、全世界の若い世代の人民を、経験に富んだ庭師のように、注意深く、そしてやさしく育てあげているのである。」・・・・・(中略)・・・・・・・

 

こうしたソ連へのイデオロギー的な魅力に、さらに伝統的なものからは切り離されたロシアへの愛国心の残火のようなものが付け加わっている例もあった。

進んでソ連のスパイとなったアメリカ人の中には、ロシアからの移民や移民の子ども達が大勢いた。

KGBのスパイとなったアメリカ共産党の青年党員、サヴィル・サックスの両親は、その孫の証言によれば過激な思想を持ったロシアからの移民で、似たような思想を持った他の家族達と同じアパートで共同生活を営んでいたが、彼らはこの「非常に閉鎖的なグループの中に閉じこもって暮らし、アメリカの社会は帝政ロシアでユダヤ人迫害を推進した人々と同じ人々が支配する社会だ」と決め付けていたという。

 

 しかし、ロシア革命が起こった後は、母国ロシアではポリシェビキ政権のおかげで、こうした不正義は全て正されるようになった、と彼らは皆信じていたというのである。

 

こうして共産主義の思想と残っていたロシアへの愛着が一つになって、アメリカのロシア移民や其の子ども達の中には、アメリカ国民としての意識よりも、ソ連という国家への奇妙な愛国心のほうがはるかに強かったと言う例もあった。

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