【戦後70年】真珠湾奇襲、英MI5は知っていた 証拠の日記見つかる 007のモデルのスパイ暗躍 情報伝えられたFBI長官は…

【戦後70年】
真珠湾奇襲、英MI5は知っていた 証拠の日記見つかる 007のモデルのスパイ暗躍 情報伝えられたFBI長官は…

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日本海軍の真珠湾攻撃により炎上して沈む米戦艦ウェストバージニア。奇襲攻撃の情報をFBIは握り潰していた可能性がある(ロイター)

 

 73年前の12月8日、日本は真珠湾を攻撃した。

当時の日本の最高機密だが、英独の二重スパイが攻撃計画を事前に察知し、英MI5(情報局保安部)が把握していたことが、英国立公文書館所蔵の秘密文書で判明した。

MI5のガイ・リッデル副長官は日記に、スパイが奇襲4カ月前に独側から偵察を指示されたリストに真珠湾と米艦隊があったことを「われわれ(MI5)は所有している」と記していた。

スパイの回顧録によると、米FBIにも奇襲を伝えたが、ジョン・フーバー長官が握り潰していたという。

(編集委員 岡部伸)

このスパイは、セルビア人のドシュコ・ポポフ。

コードネームは「トライシクル」(三輪車)で映画「007」シリーズのジェームズ・ボンドのモデルの1人として知られる。

リッデル日記によると、真珠湾攻撃後の1941年12月17日付に「『トライシクルの質問状』を今、われわれ(MI5)が所有している。

これは8月にドイツ人たちが真珠湾について特別に関心を示し、可能な限りのあらゆる情報を入手したがっていたことを極めて明瞭に示している」と書かれていた。

ポポフの回想録「スパイ/カウンタースパイ」によると、「トライシクルの質問状」は、ポポフが同年7月、ポルトガルのリスボンで独諜報機関のアプヴェール(国防軍情報部)から「米国でスパイ網を組織せよ」との指令を受け、渡された調査リストだった。

この中に真珠湾の米軍施設や米艦隊などが含まれていたという。

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渡米したポポフは、FBIのニューヨーク支部長と面会し「日本が真珠湾を奇襲する可能性がある」と告げた。

フーバー長官にも面会して進言したが、フーバーは二重スパイのポポフを信用せず、個人的に握り潰した。

さらにフランス人のハリウッド女優、シモーヌ・シモンと交際し、高級ホテルやペントハウスで暮らす豪勢な生活を非難したという。

「質問状」は書類だけでなく、ドイツが超高細密の印刷技術を使って開発した極秘の連絡手段「マイクロドット」としても手渡された。

高倍率の拡大鏡で見ると微細な文字が判明する技術。

ポポフはこれをFBIに渡し、英米は初めてドイツの革命的なスパイ技術の存在を知った。

真珠湾を偵察する「質問状」は、明確な攻撃計画ではなく、奇襲の意図も明記していないため、日本の奇襲計画情報を入手して、米国に伝えたというポポフの主張は信頼性に欠けるとの見方もあった。

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日本海軍の真珠湾攻撃により炎上して沈む米戦艦ウェストバージニア。奇襲攻撃の情報をFBIは握り潰していた可能性がある(ロイター)

 

 しかし、その後、情報公開が進み、米国では「ポポフの真珠湾情報はフーバーに伝わったが、ルーズベルト大統領まで上げられなかった」とする論文も発表された。

大戦中にドイツの「エニグマ」など世界各国の暗号を解読し、現在は博物館となっているブレッチリーパークでも「ポポフは奇襲4カ月前にリスボンで真珠湾の『調査』情報を受け取り、MI5に報告し、FBIに伝えた。

しかし、フーバー長官は、ポポフを嫌い、拒否。

FBIのエージェントは敬意を払って関心を持った」とポポフが真珠湾情報を得て英米に伝えていたと公表している。

【プロフィル】ドシュコ・ポポフ

セルビアの裕福な家庭に生まれ、ドイツの大学を卒業後、弁護士となった。

第二次大戦勃発後、ドイツのスパイとなったが、ナチス嫌いだったため、英MI5に引き抜かれ、二重スパイとなった。

ノルマンディー上陸作戦で偽情報をドイツに流して作戦を成功に導いたことにより戦後、英国籍を得て英国王室から勲章を受けた。

ギャンブル、女性好きで知られ、「007」のジェームズ・ボンドのモデルの一人とされる。

コードネーム「トライシクル」は「女性2人とベッドを共にする習性」「部下を2人雇って3人で情報収集」などから命名されたといわれる。

「007」原作者のイアン・フレミングはポポフの監視役だった。

【用語解説】MI5

英情報局保安部。

英国内での外国スパイや共産主義者などの摘発、国家機密の漏洩阻止などのカウンター・インテリジェンス(防諜)を行う内務省管轄の情報機関。

冷戦時代、ソ連のスパイ、キム・フィルビーら「ケンブリッジ5」を突き止め、大戦中は、日独の諜報活動に監視の目を光らせ、二重スパイを送り込み、欺瞞情報を流して勝利に貢献した。

英国は他に外務省管轄の通称「MI6」、秘密情報部(SIS)を持つ。

 

【戦後70年】真珠湾奇襲、英MI5は知っていた 証拠の日記見つかる 007のモデルのスパイ暗躍 情報伝えられたFBI長官は…

ガイ・リッデルMI5副長官の1941年12月17日付日記に、「『トライシクルの質問状』をわれわれ(MI5)は今所有している」と記されていた(英国立公文書館所蔵)

ニュース写真

  • 日本海軍の真珠湾攻撃により炎上して沈む米戦艦ウェストバージニア。奇襲攻撃の情報をFBIは握り潰していた可能性がある(ロイター)
  • 二重スパイだったドシュコ・ポポフ (英国立公文書館所蔵)

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